臨床推論をいっしょに学ぶ方を募集!

一緒に臨床推論を学びませんか・・・!

今現在、鍼灸治療で臨床に奮闘されている先生、我々と一緒に日々の臨床推論を勉強しませんか・・・。

臨床に学ぶ会は、日々の臨床において、疑問に思うこと、知りたいこと等を、同じく臨床に奮闘されている鍼灸師達とディスカッションすることを主に行っております。

臨床に学ぶ会 

概要

「臨床に学ぶ会」は東京銀座・京橋で 2011年から現在(2016.3)まで6年間続く鍼灸臨床の勉強会です。

2カ月に1回の頻度で活動しています。「患者中心の医療」を実践するため、医療面接の考えを基に患者さんの病歴を重視し、臨床能力の向上を目指しています。

臨床歴8年から20年までの6名の開業鍼灸師で構成されています。

会ではメンバーがそれぞれの症例を持ち寄り、全員でその内容を検討しています。具体的には医療面接によって病歴を聴くこと、臨床推論によって論理的に病態の判断をし、疾患の鑑別、鍼灸の適応の有無、治療方針の検討を行っています。

また全員が共有していない技術については、実技供覧を行うことで確認をしています。疾患や治療法だけでなく、患者さんの気持ち、治療に対する期待感、生活への影響など多様な視点から、日々の臨床が患者中心の医療の考えに沿っているかを真剣に検討しています。

症例検討の意義は、客観的な視点で症例を見直し、掘り下げることで症例に対する深い理解、様々な意見、視点、心構えを学ぶことにあります。共に学ぶことで、ひとりでは解決できなかった問題を、様々な臨床上の成功例、失敗例、最新の知識などを共有することで気づきが生まれ、臨床上のヒントを得ることができます。

メンバー同士、本音の議論を進めながらも、自由に自分の意見・考えを述べ、他の人の考えや治療法を学ぶことができ、相談できる点が本会のひとつの特徴でもあります。このように、患者さんが求める医療に応じるため、意欲と情熱をもって「臨床に学ぶ会」は運営されています。

募集要項

  • 今現在、鍼灸院を開業されている方。
  • 常に向上心を持って勉強されている方
  • 節度をもって参加できる方
  • 当会は、どちらかというと、西洋医学的な解釈が主になります
  • 東洋医学的な解釈も取り入れていますが、東洋医学的解釈のみで治療を行っている方は合わないかもしれません

会に参加するからには、必ず自分の意見を発言していただきます。黙って他の方の意見を聞いているだけは通用しません。 

学生は不可とさせていただきます。当会に興味がある方、一度参加してみたい方は、必ずメールにてご連絡ください。電話での対応はお断りしております。

実際の流れの具体例

<左側の耳鳴り、難聴、めまい>OS:左側の耳鳴り、難聴、及びめまいがある29歳、育児中の女性説明モデル:

はっきりとした原因はわからないが、子供の育児で疲れは溜まっていると思う。受診動機:病院に1週間入院していたが、あまり回復しなかった。このままではまずいとホームページを見て鍼灸に効果があると知り来院。

現病歴高校生の頃から、疲れが溜まったりすると軽い耳鳴り、短時間(20秒程)のめまい は頻繁にあった。放っておくとすぐに治まっていたので、これといって病院には行かず にいた。 

今回、10日程前にスーパーで買い物中に突然、左の耳に「ドコドコ」「ゴー」といった 感じの耳鳴りがし始めた。あわてて自宅に戻り安静にしていたが今回はー向に耳鳴りが治まらず、そのうち左の耳が詰まった感じになり、聞こえが悪<なった感じがして、 同時に短時間ではあるが強いめまいがした。さすがに心配になり、電話で母親に来て もらい、近くの病院に連れて行ってもらった。検査の結果「突発性難聴」と診断され、即入院となった。

ちなみに難聴は今回が初めて。病院ではステロイドの点滴を1 週間程行ったが結局、耳鳴り、難聴は改善されず退院となった。尚、オージオグラム は左耳の低音が100台を超えていた。 

現在は、相変わらず耳鳴りは続いているが睡眠は問題ない。詰まり感もあり、聞こえが悪い。めまいは軽度のフワフワ感が常にある。増悪因子は疲れが溜まるとこれら の症状が悪化する感じがあり、特に家でパソコンやスマホをしているとめまいがひどくなる。緩解因子は入浴でのんびり浸かっているときは不思議と楽になる。

随伴症状は暇性的な首肩のこり、緊張性頭持ちであり首肩が緊張すると頭痛が頻繁に起きる。尚、本人はあまり切羽詰った感じは見受けられず、子育て、夫、夫の両親の不満を 延々と語っている。

一般健康状態喫煙、飲酒歴なし、食欲正常、血圧(109/67)、服薬(病院にてメチコバール処方、頭痛時に市販の頭痛薬)。睡眠正常、体重の増減はなし。既往歴特になし 。

家族歴母親が頭痛持ち、自律神経失調症。身体診察身長159cm、体重51 kg。左右の胸鎖乳突筋、斜角筋の緊張。左咬筋、側頭筋の緊張。左顎関節の歪み。左右の後頚部~僧帽筋にかけての緊張。尚、上記の筋肉群に対しての圧痛は無く、強く押すと気持ちがよいとのこと。

臨床診断 '診断名:拍動性の耳鳴りを伴う頚性めまい。

根拠: 

①耳鳴りの質が「ドコドコ」といった拍動性であること。

②ステロイドの点滴でほとんど効果がなかったこと。

③めまいの質が「フワフワ」としためまいであること。

④パソコン、スマホ等、首に負担がかかるとめまいが悪化すること。

⑤入浴で筋肉を温めると、耳鳴り、めまいが楽になること。

鑑別診断とその根拠

①突発性難聴:以前にも耳鳴り、めまいがあったこと。

②メニエール病:回転性のめまいがないこと。発作時のめまいの持続時間が短いこと。

治療とその指標 

まずは、首、背部の筋肉の緊張を取り、血行障害を改善して、耳鳴り、めまい、難聴を改善することを指標とした。 時間が経つと改善が悪くなることを説明し、しばらくは毎日治療することを提案、納得してもらい治療を開始した。

第1回(1日目)伏臥位で完骨、天柱、天膠、肩中兪、風門に、39mm-0.18号(寸3、2番)で1.5Cm。膏盲、隔兪、肝兪にlcm。 10 分程置鍼。次に左を上にした側臥位で天鵬、鸚風、聴宮、及び首の付け根付近で緊張がある部分に2cm。 20分置鍼。最後に聴宮、ノ噛風に糸状灸、各10壮ずつ行う。

第2回(2日目) 耳鳴り、詰まり感(聞こえ)は相変わらすだが、フワフワしためまい感はだいぶ取れたとのこと。治療は前回同様。

第3回(3日目) フワフワしためまい感はない。耳鳴りは相変わらず、詰まり感(聞こえ)は少し良いとのこと。治療は前回同様。 2回という短期間でフワフワ感が完治していることから、フワフワとした感覚がはたしてめまいなのか疑問である。

第4回(4日目) フワフワした「めまい感」はもうない。首肩のこりも楽になっている。耳嗚は相変はらず、詰まり感(聞こえ)はだいぶ良いとのこと。治療は前回同様。

第5回(5日目) 昨日、鍼灸治療の後に病院で検査(オージオグラム)をしたところ、低音部が70台に回復したとのこと。症状も耳鳴りが少し落ち着いているとのこと。治療は前回同様。

第6回(8日目) 耳鳴りはだいぶ落ち着いているとのこと。詰まり感(聞こえ)もあまり気にならない程度。生活にあまり支障が無い程度まで回復したので、今回治療して少し様子をみますということになり、一旦終了となる。

症例のポイント 

今回のようなケースは、疾患を特定するのが難しいが、突然の強度の耳鳴り、難聴、めまいがでた場合、突発性難聴を一番に疑ったほうがよいと思われる。

上記のように、会員が臨床での具体的なやり取りを、主訴、説明モデル、受診動機にまとめ、現病歴を説明して、実際の治療内容までレポートにまとめて発表いたします。それについて、みんなでディスカッションしていくのが通常な流れになっていきます。

自分の考えていること、例えば自分はこの症例に関しては、このように思う、自分だったらこのような治療方法で治療する等・・・。遠慮なく、発言していただければ幸いです。

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